シミュレーション試験対策の歴史(その1)

スポンサーリンク

どうも、たかまる(@takamaru_slot)です。

 

今回はシミュレーション試験対策の歴史について解説していきたいと思います。
滅茶苦茶長くなる事が予想されるので分割してアップ予定。

スポンサーリンク

そもそもシミュレーション試験って?

パチスロを販売するには、保安通信協会(通称:保通協)の型式試験に適合する必要があります。

試験内容は大きく言って「ソフト検査、ハード検査、書類検査、出玉検査」の4種類あるんですが、シミュレーション試験というのはこの出玉検査の一つで、メーカーが一番最初に超えるハードルでもあります。

では、具体的にどんな事をするのかというと、

①台に搭載されたフラグの確率でシミュレーションを行い、成立したフラグは全て取得する
 →押し順役だったとしても取得した事にする

②複数のフラグが成立している場合、獲得枚数の一番多いフラグを入賞させる

③ボーナスと入賞役が同時成立した場合、小役優先機であってもボーナスを優先して入賞させる
 →実機上ありえない動作をする事になるが、実機と同じ動作で試験でしてしまうと、それはそれで凄い機種が出来てしまう(今回は割愛する)のでボーナス優先のままになったと思われる
なお、小役の枚数が投入枚数以上(諸説あり)と同時当選している場合は小役を優先する

④上記を実行しながら以下を全設定分クリアする
 ・短期試験(400G)
 33% < 出率 < 220%
 ・短中期試験(1600G)
 40% < 出率 < 150%
 ・中期試験(6000G)
 50% < 出率 < 126%
 ・長期試験(17500G)
 60% < 出率 < 115%

とまあこんな感じで、成立したフラグは全て取得するという人では出来ない事をしてくる滅茶苦茶な試験があるんですが、この試験は5号機から実施されています。

こんな滅茶苦茶な試験がどうして実施されるようになったかというと、4号機の爆裂AT機のような台を2度と作らせないようにする為です。

特に検定取り消しを食らった「アラジンA、サラリーマン金太郎、ミリオンゴッド」この辺の機種・・・・いや「ミリオンゴッド」の影響がでかいと思います。

これら爆裂AT機(ストック機もあるけども)のせいで4号機が終焉を迎え、5号機になった訳ですから、それらを許すような法律では甘いと考えるのは規制する方からすれば当然の事です。

仮に4号機の獣王、サラリーマン金太郎、ミリオンゴッドのような台を保通協に申請した場合、出玉率350%とかのとてつもない数字で不適合が下る事でしょう。

そんなこんなで5号機からこの試験が導入されてからというものの、もう本当にどうしようもなく、この世の終わりと思うぐらい、究極に最強なクソ台しか生まれなくなったんですね。

しかし、5号機でも今の法律の網を潜り抜けて、4号機ほどとまでとは行かなくても、なんとか射幸性の高い機種が作れないか?とメーカーは試行錯誤を繰り返していたのです。

シミュレーション試験対策の基本

これから、歴史に応じて実際に販売した機種を紹介していきますが、その前にシミュレーション試験対策の基本から説明します。

最初に説明した通り、シミュレーション試験とは「全てのフラグは成立した当該Gで全て取得する打ち方」です。
その役を取得する事によってRTがパンクする仕様であっても関係なく取得するので、このような仕様であればシミュレーション試験を逆手に取る事が出来ます。

また「複数のフラグが成立している場合、獲得枚数の一番多いフラグを入賞させる」これも実は大きいです。
Aタイプの技術介入機などでボーナス中に1回だけビタ押しや逆押しなどを行い、14枚を1度取得してから15枚を取得する打ち方がありますが、あれもシミュレーション試験対策です。
何故ならば、14枚と15枚が成立していた際、シミュレーション試験では必ず15枚を取得するので、実際ホールで動いているボーナスよりも枚数が少なくなり、ホールよりも出玉率が低くなるからです。

大体この2つが基本で、後はこれの応用なので、この先に進む前にこの2つだけ理解しておいてください。

スポンサーリンク

シミュレーション試験を逆手に取った機種が初登場(2006年)

メーカーが試行錯誤した結果、サミーからシミュレーション試験を逆手に取った第一弾の機種が販売されます。

ボンバーマンビクトリー
©HUDSON SOFT, (C)Sammy

その名も「ボンバーマンビクトリー」。

この台はボーナス終了後に必ず永久RTに突入するんですが、終了条件が「チェリーの入賞」となっている為、チェリーを入賞させない限り永遠にRTが継続します。

この台のチェリーは「白、黒、青」の3種類があって、ユーザーにはどのチェリーが成立しているかわからないんですが、ボーナス中にナビを獲得していると、ナビストックがなくなるまでは成立しているチェリーをナビしてくれるアシスト機能がついています。

なのでユーザーは、このナビを利用して成立しているチェリーをわざとハズしてRTを延命させながらメダルを増やしていくんですね。

一方シミュレーション試験側はどうなるかと言うと、ナビの有無に係わらず成立したチェリーはそのGで必ず入賞させるので、RTに突入しても速攻でチェリーを入賞させてRTがパンクします。

つまり、取った方が損になる打ち方をしてしまうんですね。

この台の設定6の出玉率は約116%なんですが、これはユーザー打ちの場合の出玉率です。

シミュレーション試験打ちの場合は、上記の理由から大幅に下がる為、おそらく108%すらも切る事になるかと思います。

通常
ユーザー打ち チェリーが成立してもどのチェリーが成立しているかわからないので、1/3でしか取得できない
シミュレーション試験打ち チェリーが成立すると必ずチェリーを入賞させる
結論 通常時に関してはチェリーを取りこぼす分、ユーザー打ちの方がコイン持ちが悪く不利
RT
ユーザー打ち チェリーが成立するとナビ、もしくは自力によりチェリーをハズしRTを延命できる
シミュレーション試験打ち チェリーが成立すると必ずチェリーを入賞させるのでRTが即パンクする
結論 RT時に関しては比べるまでもなく、大幅にユーザーが打ちが有利

この手法は当時「リプパンハズシ」と言われていたんですが、実はこれ一部のメーカーを除いて、

 

全メーカー気づいていました。

 

しかし、4号機から5号機になった手前「これをやっちゃまた怒られるだろう」と思ってやらなかったんですが、業界を牽引するサミーがやったものだから、

 

え?いいの?じゃあ俺もやろ!!!

 

みたいな感じで一部を除いた全メーカーがこの手法を取り入れ、次々に出る自体(良い事)に陥ります。

スポンサーリンク

リプパンハズシの台が続々と登場(2007年~)

ボンバーマンビクトリーが出た当初は、まだまだ4号機も現役で誰も5号機に見向きもしなかったんですが、この辺りから4号機が続々と撤去されていき始め、いよいよ本格的に5号機へ移行していくことになります。

■当時の代表台
 ・仮面ライダーDX走れ!スーパーバイク編(サミー)
 ・スパイダーマン2(サミー)
 ・リングにかけろ(サミー)
 ・パチスロ北斗の拳2乱世覇王伝天覇の章(サミー)
 ・怪胴王(アリストクラート)
 ・パチスロ マーベルヒーローズ(タイヨーエレック)
 ・パチスロ戦国無双(山佐)
 ・マジカルハロウィン(KPE)
 ・赤ドン(ユニバーサル)

上記で書いた代表台も基本の仕組みはリプパンハズシなんですが、その中でも特徴的だった台を一部紹介。

パチスロ北斗の拳2乱世覇王伝天覇の章(サミー)

パチスロ北斗の拳2乱世覇王伝天覇の章
©武論尊・原哲夫/NSP1983 ©NSP 2007 版権許諾証SAD-304, (C)Sammy

4号機北斗の拳SEの入れ替え機として登場した本機。

ボーナス終了後はお馴染みのバトルボーナスというなのRTへ突入し、ケンシロウが勝利してる限り、パンク役のナビを行うんですが、なんと本機・・・

 

RT中にコインが減る。

 

これがどういう事になるかというと、RTが20連以上してラオウ昇天演出が発生しても、ボーナスを引けていなかった場合、

 

追加投資する状況に陥る。

 

いやぁ、さすがにこれは擁護のしようもない最強なクソ台でしたね。
実際即通路だったし。

ただ、この台のやっている事は同社のボンバーマンビクトリーとか仮面ライダーDX走れ!スーパーバイク編と同じなんですよね。

なので、仮にRT中にメダルが増えたとしてもシミュレーション試験対策はバッチリなはずなんですよ。

にも係わらずこの台、滅茶苦茶試験に落ちたという話を当時聞いたんですよね。

僕はサミーじゃないので詳しい事はわからないですが、保通協に何かしらの理由をつけられ落としまくられたんじゃないかと思っています。

というのも、リプパンハズシの台がバンバン出始めたのはサミーが先頭を切ってボンバーマンビクトリーを出したのが始まりです。

更にその後も、スパイダーマンやリングにかけろなどの高出玉率機を次々と販売してしまった為、警察庁のお怒りを受けたのだと予想しています。
じゃないとこんなどうしようもない仕様にならないと思うんですよね・・・。

赤ドン(ユニバーサル)

赤ドン
(C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT

ユニバーサルから登場した初のシミュレーション試験対策機・・・と言いつつ本当は、キューティーハニーという台があったのだけど本格的な対策機はここから。

ほとんどの台はボーナス終了後にリプレイが高確率になるリプパン仕様の台がほとんどだったんだけど、サミーの真似をしたくなかったのか別のアプローチを行ったのがこの台。

ボーナス終了後に必ずRTへ突入するのは他のリプパンハズシ台と同じなんですが、ここでのRTはリプレイ確率があまり上昇しておらずコインが減ります。

この減るRT中に3択チェリーが成立した場合、チェリーが入賞すると通常へ移行し、チェリーをこぼすと33Gの高RTへ突入します。

この為、シミュレーション試験ではチェリーを必ず取得し、一生高RTへ移行する事はありません。

RTをフローで書くとこんな感じ。

赤ドンフロー

パチスロ マーベルヒーローズ(タイヨーエレック)

パチスロ マーベルヒーローズ
TM&©2007 MARVEL This machine is produced under MARVEL license.2001-2007, (C)TAIYO ELEC

タイヨーエレックから登場したシミュレーション試験対策機。

この台は色々画期的な仕様を盛り込んでいるんですが、一番の特徴は「G数上乗せ」を搭載している所です。

今では当たり前のG数上乗せは、実はこの「マーベルヒーローズ」が最初です。

それだけでもレジェント級に凄いのですが、この台はなんと通常時からARTに移行する仕様なんですね。

これも今では当たり前なんですが、この仕様もマーベルからです。
※スカイラブ等の周期でRTに突入する台はこれよりも前にあったが、シミュレーション試験対策ができていないので除く

で、肝心のシミュレーション対策なんですが、以下のフローをみてください。

マーベルフロー

従来のシミュレーション対策機は、ボーナス終了後に高確率のRTへ移行し、その間に成立した小役をわざとはずす事で対策をしていましたがこの台はかなり特殊です。

まずは、シミュレーション試験でどうなるかを説明します。

この台でいう「通常」部分はRT0~RT2になるのですが、設定変更後は必ずRT0からスタートします。

この状態はXGATE高確率状態(設定差はあるが約1/50定義)となっており、ここでXGATEが成立するとRT2の高確率状態へ移行します。

ここからリプレイ低確率状態へのRTへ移行するには「3択ベルこぼし」「ボーナス」になる訳ですが、シミュレーション試験では取りこぼしはする事がない為、ボーナスを引かない限り永遠にRT2に滞在し、コインが増え続けます。

これだけ見ると全くシミュレーション試験対策が出来ていないように見えますが、1度でもボーナスが成立するとRT3から抜け出せず、ほぼ永久に滞在する事になります。
※RT3のXGATE確率は約1/8000

試験は17500Gと長いのでこの間にボーナスを引かないというのはほぼありえないので十分対策になってるという訳ですね。

次に、ユーザー打ちでどうなるかを説明します。

設定変更後は試験と同じようにRT0からスタートしますが、試験のように3択ベルがわかる訳ではないのですぐにRT1に移行します。

その状態から30G消化すると、RT0へ戻り、3択ベルを取りこぼしたらまたRT1・・・という繰り返しです。

で、RT0の時にXGATEが成立できれば晴れてRT2のARTへと移行できる仕組みです。
※実際の仕様はマーベルチャンスというCZに移行するがここで割愛

RT2の転落条件は押し順ベルこぼしですが、ART中はG数がある限り3択ベルのナビをしてくれるので、目押しをミスしない限りはARTが終わりません。

この仕様が他機種より優れているのは、ART中に「何かしらの小役をハズして延命する」というのではなく「小役を取りながら延命する」という所です。

前者の場合、小役をハズしながら延命するので当然その分コインが減るのに対し、後者はハズす必要がないので「純増枚数」が前者より高くする事が出来ます。
事実、マーベルヒーローズは、この当時としては珍しい「約1.3枚」を実現しています。

ちなみに、ART中にボーナスが成立した場合、どういう動きになるかというと、
・3択ベルを取りこぼしRT1へ移行する
・RT1、RT0中に3択ベルのナビが手続ける
・3択ベルのナビはRT0からXGATEが成立するまで手続け、最終的にARTへ復帰する。
とまあ、こんな感じで今だと考えられないような長さになるけど、いわゆる「準備状態中」になります。

スポンサーリンク

次回について

今回はこの辺で終わりたいと思います。
次回は時代的に押し順とかの話になるかな?

 

とりあえず。疲れた。

スポンサーリンク